NEWS お知らせ
2025.05.26
お知らせ

あやセンター ぐるぐる oasis 新入荷本紹介

みなさんGWはいかがでしたか?5月病にはなっていませんか?最近では、5月は持ち堪えても、気力が回復しないまま6月病に移行することもあるそうです。私は疲労やストレス、自律神経の乱れの予感や予防に、自然に身を委ねる環境をもとめて、海と山に歩いて通えるお家に引越しました。この季節は涼しく、風も良く通り、とても気持ちが良いのです。

「15分都市」という概念があります。「生活」「仕事」「買い物」「医療」「教育」「自己啓発」という6つの必須な社会機能に15分以内に徒歩または自転車でアクセスでき、環境負荷を低減し、誰にとっても暮らしやすい持続可能な新しい都市モデルのことを指します。

心と身体をリペアする際に、15分都市が目指す生活者の日常生活導線に、例えば「自然」「自由」「寛容」「平穏」「循環」といったコミュニティアクションへのアクセスが開かれているようなネイバーフッドデザインがあればさらに暮らしやすくなると私は考えています。さらにいえば、ケアや弱さにも焦点を当てることの肝要さも伝えたい。

誰かのために丁寧に編まれた糸のように、ネイバーフッドデザインは小さなケアの積み重ねで出来ているのではないでしょうか。ここであえて「ローカル」ではなく、「ネイバーフッド」(ご近所や近隣エリアの意)のデザインと表現を言い換えているのも、もっと関係性の近しい最少単位に近づけたかったからです。

そんなことを考え、あやセンター ぐるぐる oasisは小さな本屋の機能を備えている場ですから、本屋がネイバーフッドで誰かのために静かに用意されたケアの場所になることもあるでしょうし、それを意識したセーファーな店づくりをしています。

気持ちが沈んだときに、誰かに会ったり連絡する元気もないけど、今の私を肯定してくれたり、モヤモヤのツボを推してくれるような言葉と出会えるのが本屋です。確かに寄り添う棚には、あなたが手を伸ばせる距離に本がある。じっと余白を用意し、治す、というよりも支えて見守るのが本屋のケアの力。静かだけど開かれた空間が、誰かの心を温めたり、声には出さずそっと支え合う居場所づくりも本屋の大事なケアの機能だと思います。

さて、ちかごろの新入荷をお知らせします。

・木内アキ『ヨソモノ』01
・木内アキ『ヨソモノ』02
・小瀬古智之『gitai』シリーズ
・ベッシー・ヘッド『雨雲の集まるとき』
・セサミスペース M『Hong Kong 旅歩き』
・顧彬彬 / 宮崎晃吉『最小文化複合施設』
・真鶴出版『小さな泊まれる出版社』
・一般社団法人日本まちやど協会『日常』第2号
・一般社団法人日本まちやど協会『日常』第3号
・関口竜平『Books(tore) witness you. vol.3』
・関口竜平『Books(tore) witness you. vol.4』
・川﨑大助『夢のかなたの街 Cities Beyond Fictions』
・inch magazine issue01 Stories
・inch magazine issue02 NewYork
・本屋メガホン、山もといとみ、浦野貴識 (編)『スパイスとセーファースペース』
・本屋メガホン『本屋メガホンの営業日誌1』
・佐々木里菜『ロイヤル日記』
・Moche Le Cendrillon『あなたとケーキをシェアするためのいくつかの方法』

などなど。新刊や既刊の再入荷から5月の気分やイベントにちなんだものを仕入れました。移住、宿、まち、ケア、シェアなどがキーワード。


オススメ|川﨑大助『夢のかなたの街 Cities Beyond Fictions』(inch media)

「カルチャーを通して社会を考える」ことを掲げるインディペンデントマガジン『inch magazine』と、「海外短篇小説をポケットに」というコンセプトをもつ『inch magazine PocketStories』を中心に、不定期に刊行するのだが、文芸とジャーナリズムを独自の視点で編集するinch mediaの活動だ。

『inch magazine』は、7インチレコードのように軽やかに、その時々の社会を「カルチャーの目を通して」考える雑誌で、『inch magazine PocketStories』は海外短篇小説を携帯することを意図する。本書は、1990年代を中心に国内外のインディペンデントな音楽シーンをつなぎ続けた雑誌『米国音楽』の創刊者であり編集者でもあった著者・川﨑大助による、個人的かつ文化的な記憶の回想録として刊行された。

読書や映画、音楽といったフィクションとの出会いは、川﨑にとって都市や現実の出来事を照らし、その解像度を高め、生きたものとして実感するために欠かせない体験であった。これらの作品は単なる娯楽にとどまらず、著者の心境や環境、時代や社会背景と深く結びついた生の感覚の媒介であった。

日本の都市と世界の都市は、ローカルなカルチャーを介してつながり合い、交差し、交流していく。その追憶を言語化する作業は、川﨑が編集していた雑誌『米国音楽』の編集方針と響き合う。寄稿者の語り口はアーカイブ化を拒むかのように奔放であり、編集は夢日記のように朧げでありながらも確かな感触を残すものであった。

未来の綾瀬がボストンやサンフランシスコとつながることもあるかもしれない。このまちから生まれる文化は何であろうか。知らずにいたまま文化に出会い直すこともあるであろう。oasisでは、そのような気持ちや思考をまちに染み出させたいと考えている。