足立区の未来
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2023.06.07
レポート

一人ひとりの「生きる力」を養う場所へ。健康を守る、街の駄菓子屋

足立区立東加平小学校の近くにお店を構える「駄菓子屋かしづき」。営業日は1ヵ月に3回で、毎回、学校帰りの子どもたちで賑わいます。お店を営むのは、理学療法士である佐々木さんご夫婦です。「駄菓子を売ることが目的ではなく、『地域の健康』が目的」と語るお二人に、お店に込めた想いを伺いました。

PROFILE

駄菓子屋かしづき

5年ほど前、足立区に引っ越してきた佐々木さん。理学療法士として医療に従事する中で「健康」の意味と大切さを問い直したことをきっかけに、街の健康を守る場として、2021年3月に「駄菓子屋かしづき」をオープンしました。

佐々木 隆紘さん
足立区に在住。理学療法士兼、駄菓子屋かしづき店主

駄菓子屋かしづき

「足立区に住むすべての人に"健康"になってほしい!」

佐々木さんご夫婦は、この想いから「駄菓子屋かしづき」を始めました。月3回の営業日には、近くの小学校や幼稚園からひっきりなしに子どもたちが訪れます。駄菓子をじっくり吟味する子、ぱっと“いつもの”を買って店先のベンチでおしゃべりに興じる子、レジにいる佐々木さんに話しかける子……子どもたちにとって欠かせない、放課後の憩いの場です。

さて、ここで「健康」という言葉の意味について考えてみましょう。多くの場合、身体の状態を指す言葉として使うことが多いのではないでしょうか。ですが、佐々木さんが考える「健康」は少し違います。身体の状態ではなく、周りのサポートを受けながら前向きに生きようとする「健康な心」と「周囲の環境」こそが大切だと、佐々木さんは語ります。

この「健康な心」の基盤となるのが、「自分は周りの人から大切にされている」という心理的安全性です。これが、生きようとする力につながると言います。駄菓子屋での定期的な交流をきっかけに、足立区の子どもたちが「常に見守られている」と感じることこそ、佐々木さんご夫婦の真の狙いです。

今後は、駄菓子屋以外のイベントも検討中。子どもたちを連れてキャンプに出かけるなど、「家族」を広げたようなイベントを企画する予定です。貧困率の高さが課題となっている足立区ですが、「家庭環境に左右されず、近所の大人を頼ったりしながら、のびのびと成長してほしい」と語る佐々木さん。すべての子どもたちが心身の健康力を存分に養える環境づくりを目指して、駄菓子屋かしづきは今後も活動の幅を広げていきます。



※2023年4月23日から加平1丁目の「ぷらちなくらぶ2階」に移転していますので、ご注意ください。
※営業日は「駄菓子屋かしづき」公式webサイト・Instagramにてご確認ください。

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Words for the Next!

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ライター

足立区に引っ越してきて、区の印象は変わりましたか?

佐々木さん

大きく変わりましたね。最初はなんとなく「治安が悪いのではないか」と感じていましたが、区民の方と接してみるとそんなことは全くありませんでした。最初から相手への壁がなく、仲間になろうとしてくれる人が多いです。

ライター

ありがとうございます。そのほか、足立区の人の魅力を教えてください。

佐々木さん

熱い思いを持って活動しているエネルギッシュな人が多いので、刺激を受けますね。特に綾瀬エリアには若い人たちや子どもたちが多く、フレッシュな力を感じます。SDGs未来都市の取り組みも、次世代の足立区を担う若い世代の意見を中心に取り入れながら進めていきたいです。

ライター

今後、足立区にどんな街になってほしいですか。

佐々木さん

チャレンジする人を応援する街、サポートする街になってほしいです。駄菓子屋かしづきは、子ども達が「新しいことをやってみたい!」と思えるような心の基盤を育む手助けをしたいと思っています。チャレンジする時には個人の力ではなく周囲の環境が大切です。街全体としても、その挑戦を存分に応援する環境を整えられればと思っています。

ライター

駄菓子屋かしづきとして、今後チャレンジしていきたいことを教えてください。

佐々木さん

できることをコツコツ継続しながら、家族のような地域を醸成していきたいですね。また、子どもたちには、今後の多様性社会への柔軟な考えを持ってもらいたいので、様々な特性や経験がある人と接する機会を作っていきたいです。実は一度、車いすバスケットボールの日本代表キャプテンにご来店いただいたことがあり、店にはサインがあります。今後も、子どもたちと多様な大人たちが触れ合えるイベントを企画していきたいと思います。