足立区の未来
向けたアクション

小さな一歩の積み重ねで、
足立区の未来がつくられています。

2024.06.27
レポート

地元・千住を盛り上げたい!父が育てた酒屋を起点に人と街のつながりを模索する後継者

左から一司さん、とと(社長犬)、成田さん

お店には千住ブランドのお酒が並びます

成田さんがデザインしたステッカーも販売しています

「奥千住」の取り組みの一つ「ホルムの夜会」の様子

北千住駅から歩いて10分。道路沿いの看板を目印に、少し入り組んだ場所に顔を覗かせるのは千住の老舗酒屋「成田酒店」です。
2023年に地元・千住に戻ってきたという成田夏紀さんに、実家を継ごうと決めた経緯や酒屋として地域の人々をつなぐ活動の原点について伺いました。

PROFILE

成田酒店

昭和元年から千住の地に店を構える成田酒店。全国津々浦々から取り寄せた地酒のほか、街おこしのためにつくられた千住ブランドのお酒も取り扱っています。成田さんがラベルデザインを手がけたお酒も並んでいます。

成田酒店
http://www2.plala.or.jp/naritasaketen/

成田夏紀さん
足立区千住出身。成田酒店スタッフ兼イラストレーター

成田酒店

ワクワクを起点に、つながりの起点に

一時は生まれ育った千住を離れ、長野県松本市で生活されていたという成田さん。
しかし、コロナ禍で酒店が存続の危機に直面した際、「自分の代でお店を絶やさず、2026年にお祝いの気持ちで成田酒店の100周年を迎えたい!」と思い立ち、お店を継ぐため実家に戻ることを決意しました。千住から離れて生活していた時期に、地元内外で成田酒店の評判を聞いたのも後押しになったんだとか。多くの人に愛されているお店であることを実感し、より一層、守っていかなくてはという意識が高まったそうです。

千住の地に根差し、地域のために何ができるかを考え続けてきた成田酒店。20年前には、千住の名産品になるようなお酒をつくるべく、3代目店主である父・一司さんが中心となって千住酒屋有志の会「酒千会」が立ち上がり、「千住ねぎ焼酎 やっちゃ場」が開発されました。「やっちゃ場」は糖度の高い千住ねぎを蒸してつくられた飲みやすいお酒で、千住に縁のある太田酒造さんが製造を担当。ロングセラーとなり、成田酒店の看板商品でもあります。

イベント好きな一司さんは、自身でマイクロバスを運転して酒蔵見学ツアーやバーベキューを企画しており、成田さんはその姿を見て自然と「何かやるときは自分の特技、特色を出していく」ことを学んだそう。父にならい、成田さんは酒店での取り組みに留まらず、「奥千住」と呼ばれる北千住駅から少し離れたエリアで、街とお店同士との横のつながりを深める地域活動でも発起人として活動しています。現在は、活動の1つとして「アラカワホルム」を会場に、テーマを決めていくつかのお店が料理やお酒を提供する「ホルムの夜会」イベントを定期的に開催。今後は街歩きマップの作成なども計画中だそうです。

また、一司さんと共に地域の消防団に所属しているという成田さん。地域の人の意見を拾う御用聞き的な酒店の立場や消防団での活動など、街の暮らしを守りつなげていくことがSDGsにつながるのではないかと考えています。子供のころから地域活動との関わりが深かったためか、ボランティアや環境問題などへの関心も自然と高くなっていったそう。現在は2024年1月の石川・能登半島地震を受けて、売り上げの一部を寄付に当てるステッカーや被災した蔵元を支援するお酒を販売するなど、成田酒店ならではの支援活動も行っています。

「さまざまなコミュニティに顔を出し、年齢的にも上の世代と下の世代の橋渡し役になれたら」と語る成田さんを起点に、温かいつながりの輪がこれからも拡大していきます。

関連するSDGsゴール

目標8
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目標12
目標17

Words for the Next!

未来の足立を見据える「成田酒店」成田さんの語録

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ライター

成田さんが千住に戻ってこられて1年がたちますが、これからの足立区はどうなっていくと思いますか?

成田さん

足立区って今までは、北千住が栄えているというイメージが強かったと思うんです。でも最近は、千住以外の地区も存在感を増してきていて、これからは千住だけじゃなく足立区全体で楽しく盛り上がっていくのかなと感じます。

ライター

成田酒店もその盛り上げ役を担っていかれるのかと思います。

成田さん

そうですね。成田酒店としては、酒屋だけど大人も子どももみんなで気軽に立ち寄れる地域のコミュニティ的な場所にしたいと考えていて、外にベンチを置いたり駄菓子を仕入れたりと試行錯誤しているところです。あとは、100周年も近いので、「やっちゃ場」を再発信したり何か新しいものをつくったりということは考えていますね。

ライター

今後チャレンジしていきたいことはありますか?

成田さん

自転車で酒造の見学に行く「お酒ライド」や、みんなで銭湯までランニングして風呂上がりに一杯飲む「フロラン会」のような、私が松本に住んでいたころから企画・運営してきたイベントも、コロナでストップしてしまっていたので、また復活させて楽しく地域のつながりを作っていきたいです。