向けたアクション
小さな一歩の積み重ねで、
足立区の未来がつくられています。
誰も置き去りにしない地域とつながるパソコン教室を「第三の居場所」に
地元住民を中心に、老若男女が集まる
教室には生徒作品を飾るスペースも
足立区・竹の塚西口商店街の一角で「竹の塚パソコン・スマホ教室」を運営する奥山さん。子どもから高齢者まで幅広い世代を対象に、IT関連のさまざまな相談に乗ったり、生活がより便利になるスキルについて教えたりしています。笑顔が絶えない「ほっ」と一息つける教室のモットーや、教室で教えることのやりがい、今後の展望についてお話を伺いました。
PROFILE
竹の塚パソコン・スマホ教室
竹ノ塚駅西口から徒歩3分の場所にある、パソコン・スマホについて学べる教室。扱う内容は、WordやExcelの操作方法やスマホの料金相談、ガラケーの困りごと、動画編集やプログラミングなど多岐にわたります。パソコン・スマホの基礎から応用まで学べる講座のほか、資格取得を目指す方への指導や、動画を使った授業・個別レッスンにも対応しています。また、教室で開催されるグループ講座のほか、商店街のイベントでの無料教室や出張講座も実施しています。
- 奥山奈美さん
- 竹の塚パソコン・スマホ教室 室長
竹の塚パソコン・スマホ教室
先生・生徒の枠を超えた 安らげるコミュニティを創り出す
30年ほど足立区で暮らし、2017年から「竹の塚パソコン・スマホ教室」の講師を務めてきた奥山さん。指導を通してさまざまな生徒と触れ合うなかで仕事へのやりがいを強く感じ、前経営者が事業を退かれるタイミングで、教室を引き継ぎました。これまでに指導してきた人数は通算1,000名以上。現在、下は小学4年生から上は87歳まで、幅広い世代の生徒が通っています。学ぶ内容も、スマホやパソコンの基本操作にとどまらず、キャッシュレス決済やペーパーレス化の手法、便利アプリの活用、さらにはプログラミングと多岐にわたります。
奥山さんのモットーは「チャンスは誰にでも平等であるべき。たとえ前例がなく困難に感じても、断らないで一生懸命やってみる」こと。足腰が不自由で教室に来るのが難しい生徒には出張教室を行い、視覚や聴覚に障がいのある生徒に対しては一人ひとりに合った方法を工夫するなど、学びたいという気持ちに応える指導を心掛けています。ある聴覚障がいの方とはコミュニケーションに苦心しながらも3か月かけて信頼関係を構築。「奥山さんにケアマネージャーになってほしい」と言われるまでに至りました。また、マウス操作の代わりにキーボードや読み上げソフトを使いこなす視覚障がいの方と出会い、試行錯誤の大切さを教わったとも話します。
日々の励みになっているのは、生徒の笑顔だと奥山さんは言います。キャッシュレス決済を初めて使いこなせた方が「財布を持たずに外出できるようになった」と喜んでくれたり、ビデオ通話ができず困っていた方が「孫と顔を見てお話しできた」と嬉しそうに報告してくれたり。教室で得た知識が暮らしに直結していることを実感するたび、指導のやりがいを強く感じるそうです。
一方で、生徒から教わることも多いといいます。教室では会話の流れでお互い悩みを打ち明けることもしばしば。生徒・教師の関係を超えて、人生を支え合う仲間が集まっています。奥山さんの目標は、このつながりをさらに広げ、教室を「学びの場」にとどめず、地域の人が気軽に立ち寄り、会話を楽しめる温かな“第三の居場所=サードプレイス”にすること。生活の利便性向上やデジタル格差の解消を進めるだけでなく、地域に安心と笑顔の輪を広げていきます。
関連するSDGsゴール
Words for the Next!
未来の足立を見据える「竹の塚パソコン・スマホ教室」奥山さんの語録
ライター
商店街で教室を運営されていると、地域との関わりも深そうですね。
奥山さん
人の温かさは竹の塚の大きな魅力のひとつです。商店街副会長としてイベントの提案もしますが、皆さんが私の「やってみたい」を応援してくれるのは本当に心強いですね。商店街で知り合った方や、イベントで出会った方が教室に通ってくださることも多いです。
ライター
足立区在住歴30年の奥山さんにとって、足立区の魅力はどんなところですか?
奥山さん
元気がないとすぐ声をかけてくれたり、ダメなところはきちんと教えてくれたり。下町らしい助け合いの文化が根付いているところが魅力ですね。長年お住まいの方からは昔の街の様子についてよくお話してもらいます。
ライター
地域の方とのつながりが、奥山さんの支えになっているんですね。
奥山さん
人の温かさと歴史ある土地のもとで、安心して新しいことに挑戦できるのが、足立区の一番の魅力だと思います。